乳がんは早期に見つければ治りやすいがんです
ステージ1の10年生存率は90%以上
「がん」と診断されると、ほとんどの人は大きな衝撃を受けます。
しかし、がんにはさまざまな種類があり、治りやすいがんも治りにくいがんもあります。幸い、多くの乳がんは、治りやすいがんの部類に入ります。かかる人の率にくらべて、死亡率が低いことからもそのことがわかります。
理由としては、もともと性質のおとなしいタイプのがんが乳がんに多いことが挙げられます。他のがんに比べ自分で病気をある程度の段階で発見できることや、検診で早期発見が可能なことも挙げられます。またホルモン剤や抗がん剤などの薬物による治療がよく効くことも理由のひとつです。ステージ1の乳がんでみると5年生存率は98%以上あり、10年生存率でも90%以上あります。ただ乳がんの再発は10年を過ぎても少なくないため、最終的な治癒率となるとデータを厳密に集めること自体が困難になりますが80%以上と考えられています。
乳がんはゆっくり成長する
乳がんは、比較的ゆっくり成長するものが多いことが特徴です。がんは、1個のがん細胞が2個になり、2個が4個になり、というように、細胞が倍々に分裂して成長していきます。平均的な乳がんの場合、倍に増えるのに3カ月程度かかるといわれています。検査で発見できる大きさは5ミリくらいから、シコリとして触れるようになるのは1センチぐらいの大きさになってからです。1センチのがんは10億個程度のがん細胞からできています。
1個のがん細胞がこの大きさになるまでに、乳がんの場合数年程度かかっていると考えられています。もちろん短時間で大きくなったものもあれば、もっと長い年月をかけて大きくなったものもあるでしょう。がんは細胞分裂を繰り返すにつれ、新たに転移を起こす能力を獲得する可能性があるため、なるべく早い段階で治療をすることが重要なのです。
乳がんには多様な治療法がある
ただ、たとえ少し進んでから発見されたとしても、あまり気落ちしないようにしましょう。
乳がんには、多様な治療法があります。手術で取りきれない場合でも、ホルモン療法や抗がん剤による治療があります。こうした薬剤の選択肢も多く、最近は「分子標的@ぶんしひょうてき@治療薬」という、がん細胞に的を絞った薬も誕生しています。そのおかげで、再発率も低下しています。
また乳がんは遺伝子レベルでいくつかのサブタイプに分類できることがわかりました。この乳がんのサブタイプという考え方に基づいて、ホルモン療法、抗がん剤そして分子標的治療薬などそれぞれのがんに最適の薬を選んで治療します。こうした流れを、「オーダーメイド(テーラーメイド)治療」、あるいは「個別化治療」などと呼んでいます。乳がんは、個別化治療が最も進んでいるがんの一つなのです。
治療法がいろいろあるので、ある程度進んだがんでも、さまざまな手法を用いて効果的に戦うことができるのです。
美容的にも進歩
外科治療も、命を救うだけではなく、乳房温存術が普及し、脇の下のリンパ節を無駄に切除することもなくなりました。乳房を再建する技術も進んでいます。乳がんは、治療でも美容的な面でも、最先端を行くがんといえます。
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