質問6

質問6

 乳首(乳頭)から分泌液が出て、乳房に痛みとしこりを感じたため、病院に行って検査を受けたところ、乳頭腫(パピローマ)と診断されました。「良性の腫瘍なので、放っておいてよい」と言われましたが、心配です。本当に何の治療を受けなくても問題ないのでしょうか。また、がん化することはないのでしょうか。ちなみに受けた検査は、視触診とマンモグラフィー、それに細胞診です。(石川県 39歳 女性)

アドバイス

まず乳頭腫という診断が適切であれば、乳頭分泌などの症状が続かなければこのまま経過をみたのでよいと思われます。また一般的にはがん化するとは考えておらず、その意味でも特に切除してしまう必要はありません。ただ乳頭腫という診断をマンモグラフィー、エコーなどの画像診断と細胞診だけで確定させるのは意外に難しいものです。乳頭腫の組織像はいわゆる乳頭状病変といわれ、良性の乳頭状病変と悪性度の低い乳がんの乳頭状病変はしばしば病理の専門家でも意見が割れるぐらい鑑別が難しいこともあります。

このため100%確実な方法ということであれば、やはり腫瘍を摘出する手術を行うことになりますし、それに準ずる方法としては、マンモトームや太めの針で針生検を行い病理組織学的な診断を行うことになります。ただ現実の医療ではあまり疑わしくないしこりを全部手術で摘出したり、太い針を刺して調べることが正しいとも言えませんので、そのあたりの振り分けが臨床医としてのセンスの問題になります。ご本人が現状に不安をもっているのでしたらやはりもう一度担当医と話しあう必要があるでしょう。その上で、針生検またはマンモトーム生検を行うかどうか決められればよいと思います。

なおこの方の場合、しこりがあることを前提にお話をすすめましたが、もしエコーで明確な腫瘍がわからないなら、分泌している乳管を造影検査や内視鏡検査で調べることになります。またいくら良性でも乳頭からずっと分泌物がでるようなら日常生活に困るため腫瘍を摘出する必要がでてきます。この場合外科手術を行う場合もありますが、乳管内視鏡を用いて体に傷をつけずに摘出する方法もあります。

2007年3月:雑誌原稿より