質問5
質問5
2004年12月に左乳房の乳がんで、全摘手術を受けました。がんの大きさは1・7センチ、リンパ節転移はなく、悪性度はグレードは1、ステージは1a期で、ホルモン受容体は2+でした。2005年1月にノルバデックスとゾラデックス(一般名 酢酸ゴセレリン)のホルモン治療を受けました。 同年8月に子宮筋腫の手術を受け、子宮と卵巣を全摘しました。同年9月にはノルバデックスだけの治療を受け、2006年10月からはアリミデックス(一般名アナストロゾール)による治療に変わりました。お伺いしたい点は、腫瘍マーカーのCEAとCA15-3の数値についてです。次のような経緯を辿っています。
CEA | CA15-3 | ||
2005年 | 10月 | 2・0 | 4・7 |
11月 | 2・0 | 4・7 | |
2006年 | 2月 | 2・0 | 5・1 |
4月 | 1・9 | 4・5 | |
6月 | 2・3 | 4・8 | |
9月 | 2・2 | 5・1 | |
12月 | 1・4 | 6・3 |
主治医からは「正常値だから心配ない」と言われましたが、去年12月のCA15-3は微量ながら増加していて、不安です。また、「正常値でも4回も腫瘍マーカーが上昇するのはおかしい(何かある)」という医師のコメントを雑誌で読んだこともあります。心配ないでしょうか。また、何かすべきことはあるでしょうか。(東京都 47歳 女性)
アドバイス
結論から申し上げると腫瘍マーカーの数値は問題ありません。CA15-3の値は30程度までは正常で、それまで5であったものが突然15になっても意味はありません。このあたりは心配のしすぎとしかいいようがありません。物事に関してどんなに勉強して、知識を深めても実際の現場経験がないとわからないことは多々あります。
今回の腫瘍マーカーの推移に関しては現場経験のある人間からするとまったく問題ないと確信がもてます。ただそれを一般の方、特に再発の問題に過敏になっている人に心の底から理解してもらうのは難しいことです。こうした問題は患者さんの気質のみならず、主治医の説明の仕方、主治医の性格なども背景にはあるとおもいますが、あまり神経質にならず、おおらかな気持ちでデータを流すことも大事です。個人的にも神経質な患者さんにはあまり生データ(実際の細かい数値など)をお教えしない方がいいのではと思うこともあり、そのあたりの配慮をあえてすることもあります。もちろんそれが適切なことかどうかという議論はあると思います。
さらに話をすすめると、そもそも定期的に腫瘍マーカーを測定する必要があるのか、再発を早期発見しても患者さんの利益にならないのではないかという根源的な問題に突き当たります。いずれにしても、検査結果にあまり神経質にならず、なるようになるさというある種開き直った気持ちを持つこともこの病気と付き合っていく上で大事なんだろうと思います。
2007年3月:雑誌原稿より